ブラック企業の手口を公開するよ!社員待遇編
今回は先日書いたブラックコンサル企業の手口を公開するシリーズの本編第1弾、社員待遇について。
待遇なんてブラック企業ならどこも似たようなものだろうと思われるでしょうが、そこはコンサル会社、普通とはちょっと違います。
これ正直ボツにしようか迷いましたが・・・上げる事にしました。
プロローグ未読の方はこちらからどうぞ。
私は当時、税理士事務所に対してのみ就職活動をしてました。
当時は今ほどネットの情報は信用できず、求人広告を出している会社がブラックかどうかの情報を集めるのは、そう簡単ではありませんでしたが、税理士業界は比較的わかりやすい部類でした。
その頃良く言われていたのが、税理士事務所に入社するなら「将来性」を取るか、「待遇」を取るか、という事。ざっくり言って以下の通り。
小さい事務所
- 給料は安い
- 人間関係良好でストレス小さ目
- 税理士の先生に何かあったら終わり
大きい事務所
- 給料は(小さいところと比べて)幾分高い
- 常に追い詰められていて人間関係最悪、ストレス過大
- 税理士は何人かいる事が多い
税理士業界に未来が無い事は、当時の私にもわかっていました。その私が漠然と考えていた事は、「中でも給料の高い税理士事務所で2~3年務めて経験を積んで、ハクが付いたら時期を見て転職しよう」という無計画なものでした。ハクってなんだい?
今思えば、この考えなら小さい事務所の方が良かった。
ブラック企業の募集内容は夢のよう
当時のN税理士事務所の募集内容は以下のようなものでした。
・月給18万(昇給年3回、試用期間3か月)
・勤務時間は9時~18時(昼休み1時間)
・2年目社員の給与実績25万
・完全週休2日制
・福利厚生で毎年海外旅行実施!(2年目以降参加可)
・各種社会保険完備
うろ覚えですがこんな感じ。他にも条件は各種ありましたが、細かい事は置いといて、これらは入社した側から見れば全部嘘です。
特に月給は当時、13~15万が相場でしたから、相当高い部類に入ります。
詳細は後々社員教育の実態で明らかにします。
3年経ったら辞めさせる上に失業保険が最低に
前述の通り、私は税理士事務所にしか就職活動をしてません。まあその辺り、細かい話をすれば色々あるんですが、少なくともコンサル企業を志望した事は一度もありませんし、入社を承諾した覚えもありません。聞かれた事すら無い。
雇用にあたって書面のやり取りは一切無く、給料日になってお金が2ヶ所から振り込まれているのを見て、初めて自分が2ヶ所に勤務している事実に気付きました。
何故こんな事をするのか?
それは各種社会保険の会社負担を軽くする為。
給料総額が20万でも30万でも最低賃金分の給料をABCコンサル(仮名)から支払い、残りをN税理士事務所から支払います。雇用保険や健康保険、厚生年金などの社会保険はABCコンサル(仮名)でのみ加入します。
こうする事で、本来の給与に対する会社負担分の社会保険料を最低賃金分の負担で抑えられます。不正だと思います。どうしようもないので調べた事もありませんが。
この2つの会社に同時に在籍させられる事で、社員のメリットとデメリットは大きく以下の4つ。
・各種社会保険の自己負担が少なくて済む
・税理士事務所以外の(数日の宿泊を伴う)仕事が頻繁に舞い込む
・社員は年末調整できず、確定申告する必要がある
・雇用保険を最低に抑えられる為、退職後の失業保険の給付が最低
一応社員の毎月の社会保険料の負担が軽くなるので、僅かでも社員にもメリットがあるように見えますが、当時の社員の中で共通していた意見は1つです。
まともに雇用保険をかけて欲しい
このN税理士事務所では、入社した日に「3年経ったら辞めろ」と言われます。3年目以降の社員も1年目の社員も、やってる事は同じだから、3年以上居座られると給料が高くなって迷惑である。という理由です。
実に勝手ですが、新入社員も事前に説明を受け、わかった上で入社しているのなら、まだマシです。ところが、これは募集から入社前日まで一切言われません。入社した日に初めて言われます。それも「お前たちのような役立たずは」という冠付きで。
入社試験の過程で「骨を埋める覚悟があるか!」と迫る一方で辞めた後の失業保険すら、予め搾取している訳です。
実際に当時の社員の平均年齢は20代前半に保たれており、あらゆる手段で在籍3年以上の社員を辞めさせてました。
こうなると毎月のように誰かが辞めていきます。
残った社員の中にはハローワークの様子などの転職事情の実態が聞こえてくる者が出ます。その為、実際に受け取れる失業保険の額とそのカラクリは皆が気付いています。
これで各種社会保険完備!と高々とうたっている訳です。
ちなみに文句を言っても「社長はお前たちの未来を思って毎日眠れないというのに、お前たちは何だ!社長のこの想いがわからんのか!情けない!」と言って全く取り合いません。驚愕。
だったらせめて社長室でいびきをかくのをやめろ。
搾れるだけ搾り取られ辞めるに辞められない
さらに、賞与支給日には物販部門が社内セールで少ない賞与を搾り取ります。正直なところ、タダでさえ少ない給料を無駄遣いなどできません。
しかし、賞与を出してやっているのに会社の商品を買わない反乱分子は誰だ!と言って社長がチェックし始めては、渋々応じるしかありません。愛想笑いも引きつります。
更に海外旅行。
主にこの会社の求人は、月給と海外旅行に釣られて募集が殺到します。
ところが、前述の通り支給が高くても可処分所得が少な過ぎて現地で遊ぶ金がありません。しかも旅行代理店のプランを2割3割と買い叩くので、最早ツアーとは呼べない、酷くチープな旅行になります。
現地でも値下げ交渉を繰り返すので、夕食が
「汚い食堂の塩味すらしない大量のマッシュポテトもどき」のみ
という事も。刑務所の方がまだマシ。
更にホテルに帰れば全員で社長を褒め称える、という研修という名の謎の儀式が行われます。これが人数が多いので2時間や3時間では終わりません。
この際、「素晴らしい旅行に連れてきて下さり、社長には感謝しております。」といった趣旨を盛り込まないと、全員の前で社長から罵詈雑言を十数分浴び続ける公開処刑が待っています。自分なりのアレンジを加えないと「薄っぺらい。やっつけで言っている」として、やはり処刑されます。
処刑されたものは後々社員からも非難されます。厄介なのは、洗脳にどっぷりハマって本気で詰め寄って来る信者タイプ。精神がやられます。
刑務所の方がまだマシ。
ちなみに最近の研究によると、己の正義を盾に他人を攻撃するのは気分が良い、という事がわかってます。
実態を知る職員は当然行きたくないのですが、断ると「社長の厚意を裏切るのか!」と信者に毎日毎日イビられて仕事になりません。
仕方無く参加を承諾しようとすると、今度は「お前のような怠け者が連れて行って貰えると思ってるのか?」とゴネ始めます。一方、参加が確定するまで信者のイビりは執拗に続くので、血を吐く思いで「参加させて頂けないでしょうか」と言わされる羽目になります。涙が出ます。
こうして少ない給与を何重にも会社に搾り取られ、貯金も貯まらず失業保険もアテにならないとなれば、辞めるに辞められない地獄が続きます。
その状態でもなお、辞めるよう追い込む訳ですから、ここを退職する時は本当にお金も体力も気力も何もかも無くなります。訴える気すら起きません。
実際私も辞める時はわずかながら借金を負ってました。
こんなものは氷山の一角で、
- パワハラセクハラは日常茶飯事
- 賞与の中から勝手に会社の株を天引きで買わされる
- その株は社員の手には渡らない
- 22時に帰ると「アイツ暇」として仕事が増える
- 趣味の話をすると「アイツ暇」として仕事が増える
- パワハラセクハラは日常茶飯事
- 休日は「研修」と言って出社させる
- もちろん残業代は1円も出ない
- パートにすら残業代を払わない
- 健康診断ももちろん値下げ交渉
- 若い社員の受診種類を極力少なく抑える
- 血液検査したければ献血へ行け
- パワハラセクハラは日常茶飯事
- 退職が決まった社員の有給申請を却下する
- 社長が「有給消化なんかしないでパッと辞めろ」と詰め寄る
- 退職金はゴネないと払わない
- 天引きされた株の買い取りを要求しても取り合わない
- 退職した気の弱い社員を残務整理の為に無給で呼び出す
- パワハラセクハラは日常茶飯事
等々書き出したら終わりませんので割愛。とにかく社員の人間性が徹底的にスポイルされます。心が殺される。
これが社員側から見たABCコンサル(仮名)の待遇でした。
つづく。
※お断り※
特定を避ける為、今回もこれからも内容にはいくらかフェイクを混ぜますが、大抵事実の方が酷いです。あと私は刑務所に入った事はありません。
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